人生リベンジ!自分の経験をホスピタリティに
こうして、新卒入社から2回目の転職で人材会社でのキャリアを開始した向井さん。時を同じくしてご結婚、その後数年で出産。産休・育休を取りながらキャリアを積んでいきます。ふんわりとした雰囲気の向井さんですが、お話には仕事に対する熱意があふれています。「仕事好き」はお母さま譲りだそうです。
私は高校受験も大学受験も失敗したと思ってます。就職も思ったところに行けなかったし、「人生リベンジ」と思っている。ほかの人からはどう見えているかわからないけど、私自身は達成できない人、と思っているんです。
両親はともに地方ですごく優秀で、大学受験で失敗して東京に出てきて浪人した時に出会っているんです。母も父もその後優秀な大学に進学して入るのですが、そういう経験があるので両親はそんなに言わなかったけれど、母方の祖父母は娘の優秀さが自慢で、私は小さい頃から「いい大学に入らなければいけない」というプレッシャーを感じていました。
でも母親はちょっと面白い人なんです。小さい頃の私はちょっと手がかかる子だったので、幼稚園の先生から小学校受験を勧められたのだけど、母はそれが逆に面白くなくて、あえて厳しい環境でって。中学受験はいじめがあったりしたので父は中学受験させたかったみたいなんだけど、「鍛えられなくちゃ」って。「中学受験なんて親の手柄になる。そんなのダメダメ」って言ったんですよ。
そういう反骨精神みたいのは気持ちわかるんです。人に言われて「うん」と言わないというか、負けてられるか!みたいなのは。
母は私が小学生になったころから大学に行きだしたんです。
いま流行りのリカレント教育というか、専業主婦は暇で嫌だからという理由で30年前にやった人なので、ある意味最先端というか、でも2回目の大学通学をきっかけに働きはじめて今に至るのです。
私の仕事好きは、母の影響はかなり大きくって。専業主婦向かない人ってああいう人かと、子供ながらにも思ったわけです。
スクーリングに通うからって私は妹と福島の母の実家に夏休み中預けられました。夏休みになるとおばあちゃんが迎えに来てずっと一緒にいるから、近くにいないのにかなり影響を受けました。「お母さんも優秀だったんだから、あなたもいい学校行くのよ」と言われ続けていたんですよ。
変な話、私が長男を産んでからキャリコンの資格取りたいと思ったときも、お母さんに「あの時大学行ったでしょ?だから今度は日曜日子供のお世話お願い」って。
まだ母は仕事しています。すごいですよね。母は働くのが好きなんです。私も好きだけど。
そんな私も一度だけやめようかな、と思ったことがあります。ひとつまえの人材派遣の会社に勤めていて、出産して1年目でした。育休復帰の1年目。しんどい、ということが一番の理由。
復帰した時の上司の風当たりも強かったし、働きながら子供育てるのってこんなに大変だったんだって思いました。その時は、一度だけ、辞めようかなって思いました。
その後上司が変わったことや、自分自身でNECワーキングマザーサロンに行ったり、マドレボニータの活動に参加したりしていくことで、結局働くママは同じような悩みをかかえているんだな、ということがだんだんわかってきて。同時に、一回そのことでキャリアをあきらめて辞めてしまうと「ブランク」と言われ、思うような仕事ができない、という人にもたくさん会うことができたんです。辞めちゃいけないんだなって、思うようになりました。
頑張るのが好きで、仕事が好き、学ぶのも成長していくのも好き。そんな向井さんでさえ、くじけそうになったという育休復帰後の仕事と子育ての両立。その中でも自分で突破口を見つけ、会社で成果を出していきます。そうして選んだ向井さんのキャリアチェンジは、決して消極的な理由ではありませんでした。