いくらでも活躍の余地はある!

会社員としては「ハザマ」の人間だったと仰った村田さん。会社員以外の選択肢があることを伝えたい、と想いを語って下さいました。

起業するまで、自分の中で「これがスペシャリストだ」と胸を張って言える仕事がないなと感じていました。でも職種という観点で言うと、リクルートスタッフィングでは3部署異動させていただいたり、ギブリーでもカスタマーサクセスという新しい概念の仕事を担当させていただいたりしたので、ほぼ全ての職種を経験できたのかなと思うようになりました。この経験のおかげで、いろいろな方の評価ができて、尊敬もできるというところは、今の事業にも生きているような気がします。いろいろな人にリスペクトを持てるのは、自分が何か特定の分野のプロフェッショナルではない中途半端な人間だからこそ出来るのかもしれないですね。

私のキャリアについて話したので、1社目も2社目も私がモヤモヤしたところを話してしまいましたが、どちらも良いところもたくさんありました。リクルートスタッフィングはやはり組織や評価制度がしっかりしているので、新卒1年目でも営業成績で全社表彰も十分あり得る話なんです。だから逆に、1年目の若い子が頑張れば出来ることを、5年後も同じようにやっているというのは一体何なんだろう、と思ってしまった部分もあるかもしれません。モチベーションが統一されているのもすごいなと思います。全社表彰されたいというモチベーション、社内の月間表彰でインセンティブがもらえるぞというモチベーション、長期と短期のバランスで個々人の目標を握れているのはすごいなと思いました。それから、マネジメント層の人間の質ですとか、仕事をする上での振る舞いの良し悪し、仕事上のコミュニケーションの取り方なども共通認識が出来上がっていて、平準化されていました。新卒の時に先輩に言われた何気ない一言でそれが自然と身について、仕事依頼したつもりが、先方はそうは認識していなかった、みたいなことはほとんど起きていなかったな、と。他の会社だと結構そういうのがあるんですよね。それがナチュラルにできていたのは本当にすごいな、と思いました。それでも、自分は「ハザマ」の人間だったので、モチベーションの在り方や勤務中の振舞い方で迷ってしまうこともありましたが……。

ギブリーに限らずベンチャー企業の良いところは、勤勉な方が非常に多いことでしょうか。みなさん新しい知識を得たり、トレンドを知るために勉強されるんですけど、勉強に対する時間の割き方や姿勢が、それまで見てきた人たちとは全然違っていて。上司や役員の方も私と年1つしか違わないような方々だったのですが、スキル、知識量、知識欲にものすごく差があるなと感じていました。そういう背中を見ながら仕事をして、あるべき姿勢だな、と思ったのを覚えています。良し悪しはそれぞれありつつも、私にはそういう尖った人が合うのだな、と再認識しました。

ターニングポイントだったと思うのは、リクルートスタッフィングで営業をしていた頃に一度ありました。人材系の営業をしている方は誰もが一度は考えることだと思いますが。自社サービスを使ってくださるお客様の就職活動の現場に毎日接して、どんなスキルがあるか、何とマッチするかを観ますよね。そうすると自分のスキルは何だっけ、ということを考え出してしまって、ものすごいジレンマに陥ってしまいました。人材の営業は、外から見るとすごいスキルに思えるのですが、コミュ力というかキャラ営業というか、そういうもので何とかしてしまう自分がいました。自分に何か特別なスキルがあるわけではなくて、愛嬌だとか、足で稼ぐだとか、電話をすぐするだとか、そういうことでしかないんじゃないか、なんて。

実際、企画の部署に異動した時、Excelの使い方なども全然知らなかったんです。少しずつ覚えていくうちに、業務はこんなに効率化できるんだな、と感心し、初めて自分のスキルを評価することができました。スキルを獲得すると、今度は業務委託の方やコンサルの方と今まで以上に深く話せるようになり、自信にも繋がりました。更に部署異動をしたりして外の世界を知った時に、この会社にこだわり続けずに外の世界に行ってもいいんじゃないかな、と思うようになりました。何もできないまま、自信がないまま転職活動をするのではなく、「それなりにExcelができる、他にもこんなスキルもある」と思って臨んだのが良かったのではないかと感じています。

もう一つ、やはり夫との出会いは大きいですね。起業という選択肢が身近になったと思います。夫も「起業したい」と出会った頃から言っていたのですが、「なぜ起業したいのか」のような、キャリアについての深い話を、それまでパートナーとしたことがあまりなかったと言いますか……しないわけではないんですけど、相当な時間を割いて話して、それを楽しんでくれる相手ってあまりいなかったんです。起業したいと言っていて、起業して成功した人に会わせてくれたりしました。私より全然年下の人でも起業している人もいるんだな、こういう世界もあるんだな、というのを見せてもらえたことで、ずいぶん私自身の考え方が変わったと思います。 働くことは、本当に多種多様だなといつも感じています。向いている環境や職種だったり、人によって全然違うので、何か一つ仕事が合わないからといってあきらめずに、適切な方法で適職を見つければ、いくらでも活躍の余地があるのではないかなと。会社員だけが成功じゃないな、と思いますね。


まとめ

インタビュー中、「自分には会社員は向いていなかった」と何度も仰っていた村田さん。一つの会社の代表取締役として活躍されているご様子はとても真摯で、村田さんがリスペクトしているエンジニアの方々と同じようにとても素敵だなと思った筆者なのでした。
(文章:吉田けい)


村田さんに聞いた
10年後、20年後のセルフイメージ

 

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