どうせなら、とことんやってみよう
意を決して転職した井村さん。全く未経験の分野でゼロからのスタートとなりましたが、環境が一変。またしてもご自分のキャリアと向き合うことになりました。
今までのキャリアは広告やメーカーでの広報、商品企画でしたが、新しい会社はITメディア事業。まさにゼロからの学び直しです。
上司は年下で、時には一回り以上年下の方から仕事のレクチャーを受けることもありました。当初携わる予定だったPB事業の他にも、新サービス立ち上げなどいろいろなことを受け持って、久しぶりに徹夜作業をしたりもしました。今思い返すと濃い経験だった思います。
しかし、そうこうしているうちに、キュレーションメディアの信憑性を問う声が大きくなり、ヘルスケア系WEBメディアの逆風が大きくなってきました。PB事業を立ち上げるような状況ではなくなってしまったんです。
そうすると、僕にとって転職した一番の理由がなくなってしまいました。また、これは自分の力不足だと反省しかないのですが、僕を誘ってくれた社長と仕事をする上で相性が良いとは言い難く、さあ、じゃあどうしようかな、ともう一度自分のキャリアの行く末を考え始めました。
そんな時、現在の勤務先である株式会社PMAの代表に、一緒にやらないかと声をかけて頂いたんです。
彼は僕より年下でしたが、気の置けない友人として定期的に飲みに行くような仲でした。シューズメーカー時代のジレンマと、今自分が置かれている状況を話すと、それなら自分が経営しているマーケティング会社で一緒にやりましょうと言ってくれたんです。
ただ、当時は会社の規模も小さく社員は代表も入れて4名、前年度の年商は5600万程度。まだ健康保険も整備していない、会社としての体裁が整っていない状況でした。
とても嬉しい申し出ではあったのですが、養う家族がいる身としては、すぐに即答できず、正直悩みました。
ただ、前回の転職は「何をやりたいか」を考えて決断して、躓いてしまいました。また、外部環境や人間関係でうまく行かなかった経験から、「何をやりたいか」よりも「誰とやりたいか」「相手と信頼関係が構築できるか」「相性は良いか」が大切なのだと痛感してもいました。
それに100名規模の企業なら安心というわけではなく、もっと大きな企業もあっけなく倒産している時代です。そう考えると、代表は十年以上付き合いのある、信頼できて気の許せる相手。仕事をしていく上で、「誰とやりたいか」ということを改めて考えると、これ以上ない相手のように思いました。
そして、どうせならとことんやってみよう、と思いました。メーカー時代の、権限や責任範囲のジレンマもあったと思います。一緒にやっていくのなら、腹をくくってリスクを背負って、責任のある立場でやらせてもらいたい。社員ではなく経営者として彼と一緒に頑張りたい、そのために出資もしたいと申し出ました。
結果、家族の理解と代表との合意を経て、株主・取締役として経営に参画することになりました。この時の決断を思い出すと、仕事がうまく行く行かないの本質は、覚悟と腹の括り方の問題なのかもしれないな、と感じています。
現在の株式会社PMAでの業務は、経営とは言いますが、実際はバリバリにプレイングもこなしながら経営にも取り組んでいる状況です。会社として本当に色々と足りてない状態だったので、最低限の社内規程やら、保険への加入やら、その他いろいろな制度を整えていきました。
クライアントは大手飲料メーカー、大手アパレル、日本最大級寿司チェーン、東証一部上場証券会社、世界的コンサルファーム、商業施設、行政案件など、バラエティに富んでいます。総合広告代理店に近いですけど、媒体や自社商品売りが前提ではないので、課題ごとに一から解決策を組み立ててご提案しています。
営業の方でも管理の方でも、いろいろなことに責任を持って取り組むことが出来て、充実しています。おかげさまで売上も社員数もだいぶ伸びてきました。