人に会いたい、外の世界を見たい
仕事が大好きで、期待され頼りにされていた営業部員。そして「それが誇りだった」という奥野さん。大きなライフステージの変化を迎えて、思っていた筋書き通りに行かなかったそのタイミングで、地域での活動を開始されます。「もともとフットワークが軽かったけど、子供産んでも軽かった」と軽やかに笑う奥野さんですが、やはり焦燥もありました。
復職前には本当にどん底に落ちていたんですよ。大阪に帰れない、今まで通り働けない、ということは、今までの働きが評価されていたのにそれができない私は、会社のお荷物になってしまう、と自分で勝手に思い込んでしまっていたんですね。
その頃、武蔵野市のおやこひろばや保育サービスを学ぶ講座で一緒のグループになった方と「お手製のおやこひろばがあったらいいよね」という話になって、じゃあやってみない?といって始めたのが「境おやこひろば」の始まりです。その時グループにいた一人が共同で代表をしてくれて、他のメンバーもスタッフやお手伝いをしてくれていて、つながっています。
ちょうどリトミックの教室をやっていた団体がリトミックから撤退することになって、でも何十人も利用者がいて、それを続けたいからうちの団体でやろう、という動機もありました。
立ち上げて2年後に武蔵野市がおやこひろばの事業を市民団体に任せるという動きが出てきて、声をかけてもらって市の助成事業として行うようになりました。今は月に2回は市の助成予算を使ったイベント、そのほかに単体でのイベントを別に2、3回は開催しています。立ち上げた当時はこんな大きな団体になるとは思ってもみませんでしたね。
境おやこひろばの活動の他にも、東京ワーキングママ大学に通ったり、「復職前講座」で講師をしていた方が主宰する『ワーキングペアレンツ』にスタッフとして参加したり、復職してからも『NPO法人ファザーリングジャパン』の個人会員になってイベントに参加したりしていました。
外の世界を見てみたかったんですね。東京に出てきて友達も少なく、そういう理由でもないとずっと家族との時間しかなく・・・。自分になる時間って学びの時間くらいしかない、と最初は切実な思いがあったんです。
そんな時、転職もほとんどなく離職率が低い会社でずっと働いてきて、しかも復職前に落ち込んでいる私の前に、子どもを育てながら会社を辞めてフリーになった人や、男性でも仕事も育児も家事も頑張るお父さんたちが現れて、カルチャーショックだったんです。ひとつのテンプレートに収まらない、いろんな活動をしている方がいた。
そうしていく中でワークライフバランスにも自然に興味がわいてきて、自分でもワークライフバランスを体現したいし、がむしゃらに働かず仕事も育児も頑張りたい。そのために自分はどうすればいいのか、それを広めたい思いもあって、一念発起して勉強してワーク・ライフバランスコンサルタントの資格を取りました。
会社でもワークライフバランス推進のプロジェクトに入って、東京と大阪で社内セミナーを行いました。一応とても高い評価をもらったんですよ。