プロジェクトを始めて1年くらいになります。産業カウンセラーなどの資格はずっと継続しているのですけれど、活用しているとはまだ言えないと思っているんです。だからワークライフバランスについては、「何かしたいな」という気持ちがずっとありました。
養成講座行ってから4、5年たっていたのですが、この考え方は自分の人生にも重要なことと思っているので、学んで終わりにするのはもったいないという気持ちはありました。
去年、ワークライフバランスコンサルタントが集まるイベントでお会いした方にこういうことを考えていると話したら、「興味がある人がいそうだから声かけてごらん」と言われて、このきっかけがチャンスだと思って、自分から声をかけてみたらリアクションがあって。どうやって活動していきたいか、自分の気持ちなどを話して、とりあえずグループ作っちゃおうと思って作りました。最初は試行錯誤で、みんながどんな問題を抱えているか持ち合って解決しようとしていくうちに、方々から新たな課題も出てきて。ミーティングを継続していったんです。
いずれは身内だけじゃなく部外でも活かせるものを、と考えています。職場でできることはコミュニティのほかの人たちにも役に立つと思うし、僕がやれば他の人もそれを見ているでしょうから、じゃあ自分も、と思う人が増えるかもしれない。自分達が経験するケースが増えれば、別の課題を抱えた方から相談が来た時も対応できることが増えると思うんですよね。
そうやってそれぞれの人が本業以外の経験を積み重ねられると雪だるま方式にだんだん面白くなっていくんじゃないかなと期待しています。
「きつかった」経験も大切に、モチベーションに変えていく
マルチキャリアが当たり前、とおっしゃる飯島さんは、文責者と同じく、いわゆる『ロストジェネレーション』世代で、就職氷河期に大学を卒業された世代。安定企業への就職が「幸せ」の代名詞である価値観を引きずりながら、でも就職そのものが難しい、というなかなか希望を見いだせない時代の若者でもありました。
今まで様々な業種を経験して転職もしているのですが、そのうち「もう続けられないな、もうきついな」と思っての転職が半分以上です。
新卒で入社した会社は、体力的にも精神的にも両方無理でした。精神的にもたなかった会社もあるし、体力的にきつかった会社もあります。
学生の頃は、大人になってどうやって働くか想像ができなかったですね。
就職活動の時も、社会人になってからも、何やりたいか考えろといわれたんですけど、当然わからなくて。自分の持っている情報は安定した収入を持つことが大事なんだっていうことだけだったんですよね。でも会社に入ってこんなにつらい経験をしてこれが何十年も続くのはいやだな、って耐えられないと思いました。
新卒で入った会社を退社した後に、産業カウンセラーの資格を取りました。そういう仕事があると知って、興味もあったし、最初の仕事での自分のつらい経験をきちんと整理するためにも役に立つかな、と思って勉強したんですよね。元気になるのも時間がかかりましたし。
今思うとですが、石の上にも三年で三年もたないほうが悪いんだとか、環境ではなく受け取り方の問題だから耐えなきゃダメ、などというような価値観に対して大きな疑問もありました。また、こういう資格を取れば発言に信ぴょう性が出るのでは、という思いもありました。
たぶんその時期は、自分の興味のあるものを求めていたというのもあるのですが、ぜったいこれは自分にとって正しいことなんだ、と思っていたと思います。
また、資格を持っていれば、自分が何に興味を持っている人かっていうのを示しやすいとも思ったんですね。そして自分の価値観に近いものだから学んでいけば何か見つかるかもという期待もありました。そうしてきて、ワークライフバランスにも引っかかったということですね。
自分と正反対の価値観を持っている、例えば「努力と根性」の世界の体験や、結局職場の環境は切っても切り離せないのだという実感は、今の自分の糧になっていると思います。
根性ないやつは辞めろとか耐えられないなら仕事しなくていいとか、そういう考えがもう役に立たない考えだなっていうのはだんだん確信に変わりました。だからこそ、一人ひとりが自分で自分の選択をすることが重要なんだと思うようになった。つらい場面では、当然進んでもいいし、辞めてもいい。周りが決めるのでなくて、自分で決める。それが重要だと考えるようになったんですね。
自分自身のつらかった経験からも目をそらさずに大切に、外野の価値観ではなく、自分の価値観で選択して進んでいくことの正しさへの確信を、「本業」と「外」ふたつの世界で深めていらした様子がうかがえます。そしてもうひとつ、大切な転機もありました。