やっと叶った夢だけど、理想との差を知る
就職してすぐに希望の部署に配属されず落ち込んでしまった黒沢さん。ご自身を励ましながら、いつか希望が叶うことを夢見て奮闘していきます。
M社に入ればすぐに「ウーマンポータル」の仕事ができると思っていたんですね。配属されたのはアルバイト事業部で、私には本当に計算違いでした。仕事がつらくて毎日泣いていたかもしれません。体重も10kg近く太ってしまって、肌荒れもひどくなってしまって。鏡を見ても自分の顔を見て泣けてきて。美容が好きなのに、自分の顔が酷すぎて泣いていました。
アルバイト事業部では、求人広告を取り扱う営業となりました。求人広告の掲載にご興味があるクライアント先に赴いてメディアの説明をしたりするのですが、アルバイト事業部なので、行く先が飲食店だったりするんですよ。美容と全然かけ離れていて、虚しいというか、今の自分は変だ、という考えがずっと付きまとっていました。それでも「1年経ったらウーマンポータル事業部に異動できるかもよ」と上司に言われていたので、それを励みに、死ぬ気で売上を上げてやろうと頑張っていたのですが、ぜんぜん芽が出ませんでした。
1年経っても異動の辞令は出ず、本当にやめてしまおうかと大泣きしていたら、事業部長がウーマンポータル事業部長を紹介してくださいました。そのことと、尊敬する方のアドバイスもあって、そこからもうしばらく頑張りました。夢ノートというのを作って、そこにも「ウーマンポータル事業部に行きたい」と書いたりしていましたね。異動の話が立ち消えになって落ち込むこともありましたが、2年後にやっとウーマンポータル事業部に異動することが出来ました。
ウーマンポータル事業部への異動は嬉しくて嬉しくて。異動の辞令はPDFで送付されてくるのですが、嬉しくて印刷して夢ノートに貼りました。仕事内容としては、「ウーマンポータル」に掲載するメディア広告枠をクライアントに販売します。広告業界にとても近い仕事なので、アルバイト事業部とは営業スタイルが全然違いました。「ウーマンポータル」に出稿する独自性を出すために、たとえば看板広告も出せます、販促物やパンフレットも作れます、掲載期間と露出数をサンプリングもしましょう、などいろいろな企画をくっつけて提案していくんです。最初はとても楽しいな、私はやっぱり広告にも興味があるんだなと感じたので、広告やマーケティングに関連する本をたくさん読んだりもしました。
ただ、自分がやりたかったこと、という視点で考えてみると少し印象が違ってきました。メディアというものがどうやって収益を得ているのかをちゃんと自分で把握していなかったんです。結局やっぱり世の中はお金で動いていて、化粧品でも大手の会社がお金を持っていて、タイアップ広告を企画したりするんですよね。私は自分が第三者の視点から美容のいいものを伝えたい、紹介したいという思いがあったのですが、「ウーマンポータル」のようなメディア運営において、今の私の仕事ではそういうものが一切ないな、と感じていました。私が美容やメイクが好き、という事を周囲も分かってくれていたので、美容会社の案件を私に任せてくださったり、化粧品会社のアポイントに行かせていただいたりはしましたが、やっぱりまだ自分の目指すところからは遠いな、という印象です。私が美容を自分で直接やるわけではないこと、自分が良いと思う美容の情報を自由に発信しているわけではないことが、どうしてもモヤモヤと引っ掛かり続けていました。
アルバイト事業部の頃は人事評価は単月評価でしたが、ウーマンポータル事業部に異動してからは、半年や1年ごとの売上を評価されるようになりました。様々なタイアップを含めた全体としての広告施策の提案をすることが多いですし、コンペなどもあり、忙しい時期は帰りが終電になってしまうこともありました。それでだんだん自分自身がパンパンになってきてしまったんです。
このままだとちょっとやばいな、というところまで来た時、後のことは決まっていないけれど、会社を辞めよう、と決心しました。アルバイト事業部の頃も、ウーマンポータル事業部の時も、「ここで結果を出せなかったら、どこに行っても結果出せないよ」と言われていましたし、辞める時も「後悔しても知らないよ」と言われて、とても不安だったのですが、そんな言葉もどうでもいいくらいの気持ちになってしまいました。ウーマンポータル事業部に異動してから1年、入社して三年で退職することとなりました。