大切な経験が糧となったターニングポイント

井村さんのターニングポイントは三つあり、大きな影響を受けたとのこと。それらは井村さんの働くことについての洞察にも大きな影響を与えました。

僕にとってのターニングポイントは、一つは上京、もう一つはメーカー時代、もう一つは今の会社でしょうか。
上京した時はもう、物理的に生活が何もかも変わりましたからね。本当に右も左も分からない中で、東京の環境、上京してから知り合った人たちはとても刺激的でした。インプットの量が圧倒的に多くなったなと感じていました。

メーカー時代は、自分としては苦い経験です。
初めて部下を持つことになった時、超体育系だった広告会社時代のやり方が当たり前と思って接してしまったんです。自分の考え方を押し付けたり、無理に努力を強いたり、出来ないことを叱りつけたりして、負の連鎖になってしまいました。最後は社長に直訴されてしまったりして、当時の部下には本当に辛い思いをさせてしまったなと反省しています。
マネジメントスキルを習得することの重要性や、相手のプライドを尊重することの大切さを思い知った気がします。

そして、今の会社ですね。代表とは彼が新入社員の頃から知る仲です。面白くて魅力的だけれど、もちろん欠点もありました。
時々会うと成長しているな、と思ったりもしましたが、実際に経営者として一緒に仕事することになると、彼が持つ胆力、交渉力、プレゼン力、本質を見抜く力など、総合的なビジネススキルがとんでもなく成長していると驚かされました。
サラリーマンから独立して、まさに自分の力だけで生き抜かなくてはならない環境で、会社を経営していく事はこんなにも人を成長させるのかと思い知らされました。
そして、彼に見合う共同経営者となるべく、自分自身の成長がいかに必要かも痛感させられました。

僕にとって、働くということは社会とつながる事であり、誰かの何かの役に立つことです。
人は一人では生きていけないか弱い生き物なので、言葉が生まれて、社会が出来上がっています。社会に参加している限りは、社会に貢献することが望ましいし、貢献があるからその対価を得ることが出来る。未来の仕事がどんなものになるのかは正直分からないけれど、きっと基本的な概念は変わらないと思います。

僕は働くことを通じて、仲間と、貢献実感と、自由とそれに伴う責任を得たと考えています。後は仕事を通して実験というか、チャレンジする機会を貰っているなと。
メーカー時代の新ブランド立ち上げや、今の会社では経営の面白さを経験させてもらって、本当に有難いです。まだまだチャレンジ途中だけど、老舗メーカーと提携しての商品開発など、新しいビジネスに取り組んだりするのも楽しい。
これからもいろいろなことへ仕事を通して実験し、楽しみながら学んでいきたいです。

 

 

社会に貢献していきたい、そのために自分にできることを追求していきたい、と強く語ってくださった井村さん。宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ~」の詩のように、利他的に、誰かの役に立ちたい思いをとても強くお持ちでした。日本はこれから人口が減少することが予測され、一方テクノロジーは目覚ましい勢いで進化している、そんな時代でどんな風に働き社会と関わっていくのが良いかをよく考えてしまうそう。「一つ言えるのは、どんな時代も社会は人が形成していて、あらゆるサービスの対象は結局のところ人。時代の変化と、その時に必要となるモノやコトは何なのかをしっかり観察し続けるのが必要で、大切だと思う」と、生き生きと語ってくださったのが印象的でした。
(文章:吉田けい)

 


井村さんに聞いた 10年後、20年後のセルフイメージ

 

井村さんが現在取締役として参画されている会社の詳細は
以下リンクからどうぞ。
株式会社PMA https://pma-j.com/

 

 

 

 

1 2 3

4