進化していく「やりたいこと」広がっていく「仕事」
夢の助産師になったけれど、現実は厳しいこともたくさんありました。それでも少しずつ選択の理由が明確になってきていたから、ぶれることなく仕事に没頭する日々。そこでまた、「夫の転勤」という転機が訪れます。
看護師の仕事をしながら、助産師をやりたくてここまで来たのに、という思いがあったことも確かにありますが、同じ病院に勤めていればいつかまた戻れるかもしれない。それに私の癖で(笑)、やるとなると一生懸命やってしまうんですよね。パートでも禁煙外来の仕事を任せてもらったり、やりがいをもって働いていました。環境も働きやすいし、そのままだったら辞める理由はなかったと思います。
そうしているうちに夫の神奈川への転勤が決まって。家族を大切にしたいと考えていたし、子ども達のつよい希望があって。当時思春期だった子ども達が学校も部活も楽しんでいたのに父親と離れたくない、一緒に行きたい、と言ってくれたのです。それで、家族みんなで引っ越してきました。
私は初めての専業主婦。でもそこでも少し落ち込んでしまったんですね。誰でもそうかと思いますが、やっぱり孤独って辛い。こちらには誰も知り合いがいないし、知らない人との関わりにストレスもあったし、知らない人ばかりの中で、自分の放った一言で自分の全てを判断されてしまいそうなのが、その時は怖かったのです。
鬱鬱として家に居たのですが、あるセミナーを熊本時代の仕事仲間に勧められて、行ってみたのです。そこで講師の方が「相手の受け取り方を気にしていても仕方ない、それは相手のものだから」とお話されていたのがすっと心に落ちて。ずいぶん前向きになりました。
それからブログを書くようになりました。それまで少しずつ書き溜めていたのですが、やはりどう受け取られるのか、ということが怖かった。でも、伝えたいのは誰なのか?伝えたいことが伝えたい人に届くことが必要なことだと思うようになりました。
そのセミナーで出会った方に地元の助産院を紹介してもらって、夜勤はできなかったので助産師としては働けなかったけれど、その時勉強を続けていた「ゆるベジ」の料理教室をやらせてもらえることになりました。その助産院の先生がつないでくださって、行政で保健師・助産師の資格を活かした仕事も始めました。
そういう活動を続けていくうちに、育った家庭環境、ワーキングマザー時代の葛藤や、産後うつ、転勤族の孤独、と経験を積んできて、育児相談という形ではなくて、お母さんたちが気軽に話せてほっとできる場所が創りたいと思うようになりました。
周りの人にこんな場所でこんな時間を作りたくてと自分の希望を話していくうちに、今サロンを開いている場所を紹介してもらって「おしゃべりサロンあゆみ」を始めました。
今は学校やPTA関係などでの講演も行っています。性教育や命の話などのテーマで、こどもたちにお話する機会も増えました。
今年、個人事業主登録をしたのですが、屋号が決められなくて。
やりたいことが沢山ある中で、自分にしかできないこと、何をメインでやっていくかをこれから絞っていく感じになる思います。
先日学校で高学年の子供たちに「夢」の話をしました。自分がこどもの時夢見ていたこと、それがどうなったか、夢を持つことの大切さや諦めないことの大切さをお話ししました。夢が叶わなくても、夢に向かって努力する過程が大事であることも伝えられたかなと思います。その時、こういうことがやりたかったって思えたのです。教員にはならなかったけれど、こうして自分がこどもたちに経験や想いを伝えていくこともできる。結局「伝えていくこと」が私のやりたいことなのかもしれませんね。
大庭さんの人生はとにかく盛りだくさん。どうしてそんなに頑張れるのですか?と聞いてみると、「私は想いしかないんだけど(笑)。ないこと、できないことばかり考えるとそこで終わってしまう。あるものに目を向けない限り変わらないんです。そして、どうしたいのかを『自分で』決めるかどうかも大きいと思う。」と教えてくださいました。
『自分が』どうしたいのかを『自分で』決める。それがものすごく頑張ることでも、ペースを落とすことでもいい。大庭さんとお話していると、すごいなぁと思いつつ、自分は自分でいいのかな、というほっとした気持ちにもなります。これからも想いをたくさん伝えて、それが受け取った人の『自分で』決断するときの支えになり、繋がっていくのだろうと思います。
大庭さんに聞いた 10年後、20年後のセルフイメージ
大庭さんのブログです。
https://ameblo.jp/ganba345/