ワークとライフのバランスは全く別の世界として成り立つこともありますが、公務員である若島さんの場合、そして地域に還元するというご自身の活動の性質上、「公務員としてのプライベート」であることは避けられないことかもしれません。どういう姿勢で活動を進めていかれているのでしょうか。

まちづくり分野での公務員の役割って、例えば制度を作ったり、今ある規制を変えていったり、逆に規制したりすることで、もちろん法律をすごく読むんですけど、やはり難しいんですよね。
公務員としてこういう活動に関わることで、そういった法の知識を提供もできますし、公務員の存在価値を上げていけると思っています。まちに出て行けば、自ずとそのまちの生活者の顔や、パーソナリティがわかってきます。今地域で何が求められているのか、また求められていることと実際に必要なことのギャップだったり、そういうことが肌で分かってくるので、当然仕事の質は上がります。親しくなれば、そのギャップを埋めていくこともできるかもしれないし、何より感情の部分で、この人たちのためにコミットしたいと思うようになります。
そういう意味で、僕は公務員がまちに出ていくと、まちって元気になるんだろうなと思っているんです。

公務員って、堅いとか面白くないとか、原則論ばっかりみたいなイメージが一般的じゃないかと思います。そのイメージを変えてこうというとおこがましいし、「変えてやるー!」という感じではないのですが、僕自身がやっていることを、同僚や後輩などに「それ、いいな」と思ってもらえたらうれしい。守秘義務など、ルールを守ったうえでできることをやって、公務員は意外とクリエイティブで、面白い仕事だって伝わるといいなって思っています。
今は職場では大々的に公表しているわけではないので、一部の人しか知りませんが、同じように、ライフワーク的な活動をやっている人もいますね。他に場所を持つというか、パラレルキャリア的な動きをしないと今後はやっていけないのだろうな、という気もしています。もちろん、収入は得られませんけど。

若い人は「これをやりたい」というアイデアはたくさん持っているのですが、行政という性質上、新規事業は慎重な部分もあります。それが本当に必要かという精査が大事ですし、最近はEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)といって、根拠に基づく政策形成というのがすごく大事になっていています。法的根拠、費用対効果とか、なぜこれをやっているか、ということが大事になっていてくるので、逆に外に出て自分で活動を進める経験が、必要性やエビデンスを確実にしていくことができるし、根拠に基づく提案をしていけるだろうと思っています。

この地域でずっと仕事をしたいとは思っているのですが、僕は一人っ子なので、例えば札幌の両親がいざとなった時に、どうすべきか、ということは現実的に考えなければいけない、と思うようになりました。
今は札幌に帰る必要はないけれど、何が起こるかはわからない。可能性として、組織の中にいなくても自分で何とかできる力がないといけないのではないかと思っています。
そう考えるとまちづくり、ということでもうちょっと力をつけておくと、自分の強みになるかもしれないな、と。それも動機として1%くらいはあるかもしれません。もちろんそういう力は、組織の中でも強みになりますしね。

ただ、今は地域の人の顔やパーソナリティが見えてきて。商業、工業や観光などの分野で活躍している方とか地域活動している方の顔とかですね。そういう方にコミットしたい、というのが大きいです。この地域が好きだから、というより、ここに住んでいる方が良い人たちばっかりで好きなんです。そういう人たちのために役に立っていきたいな、という感じですね。つながりが大事なんだと思います。

 

決してがつがつと自分の意見を主張されるわけでもなく、スポーツマンらしく謙虚で、お仕事柄もあり、相手を尊重しながらお話をされますが、秘めた思いは強いもの。そしてすこしずつでも行動していこうとする意志が、周りの人から応援したい、と思われるのでしょう。「ここに住んでいる方がいい人たちばっかりだから」というのは、お相手が若島さんだからこそのことだろうと思います。
仕事と自分が大切に思うことを並列に置いて、自ら動くこともできる。今の、これからの世代らしいイキイキした姿を拝見して、やっぱり働くって楽しいことだな、と思い返すことができました。これからますますのご活躍を楽しみにしています。

 


若島さんに聞いた 10年後、20年後のセルフイメージ

 

 

 

 

 

 

 

 

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