今年から、『だんだん・ばぁ』に来る子どもたちより少し上の学年の子どもの学習支援を中心にした『だんだん・らぼ』も始められた加藤さん。病院でのお仕事を調整して、出張や講義の合間を縫って、精力的に活動されていますが、その原動力は何でしょうか。

不思議だな、と思うのは、場所探しに苦労していて、いよいよ「もうダメだ」となった時に「場所とれた」という連絡が来たり、騒音とか子どもたちの帰宅方法への苦情がつらかったときも、交番の巡査さんにたまたまお話したら協力してくださったり。「もうやりたくないな」と思うと何かあって道が開けちゃうんです。だからたいして「困り感」を感じないんですよね。やりきるってことでもなくて、なんとなくやれちゃっているんです。

私が本当にやったことってあそこに場を作っただけなんです。『だんだん・ばぁ』っていう場所を作りますって。じゃあ、ここでこんなことしたいとか、周りの人が持ち寄ってくれて。
子どもたちもそうなんですよね。あそこ行って遊びたいとか。
最初は失敗もしたけど、今3年たって応援してもらっている感じもある。場所さえ作ればいろんな人が集まって、化学反応起こして、生き物みたいな感じで、これからどう動いていくのか楽しみだなって。

今やっていることが正しいって思っているか、というと、わからない。
こうしたい、ああしたい、というよりも、みんながここが楽しいって思ってくれるのがうれしいなぁとか、そんなことが次につながっているのかもしれません。
大人になったら手伝いに行くよと言ってくれたり、大人になったら一緒に飲むから元気でいてくれないと困るよ、なんて言ってくれる子どもたちがいると、こういう活動ってやっぱりしていたほうがいいのかなーって。
場所を維持するだけが私の役割かなぁ、って今は思っています。

 

まだまだ理解のない中で始められた当初は特に、時には泣きながら通勤した日もあったくらい、ご苦労もたくさんあったそうです。今はたくさんの協力者の方と一緒に活動を定着させ、さらに発展させて、地域の子どもたちや大人たちにも、居場所を提供し続けています。
その秘訣は、ソーシャルワーカーとして十分な経験も実績お持ちの加藤さんであっても、「職場でも地域でも『居させてもらえる』ということだと思う」という姿勢なのかもしれない、と感じました。
実の息子さんからも「自分たちは十分やってもらったから、これからは地域の子どもたちのためにやったらいいよ」と言われているとか。そうやって循環していく社会になるといいなぁとお話を伺って心から思いました。

 


加藤さんに聞いた 10年後、20年後のセルフイメージ

 

 

 

 

 

 

NPO法人 居場所づくりプロジェクト だんだん・ばぁ
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