実業と教育、2つのサイクルの相乗効果

次々とスケールアップしていく金田さんですが、仕事一辺倒ではなく、自分の経験を還元していくことが大切なんだ、と、教育者としての一面も教えてくださいました。

2020年12月に更なるチャレンジを始めました。ネットワークセキュリティ市場で革命的なサービスを提供しているZscaler(ゼットスケーラー)にて、日本を含めたアジア全体を統括する代表取締役のポストに就任しました。Zscalerでは、クラウドを使って既存のネットワークセキュリティを根本から覆すという本当に画期的なサービスを開発し、世界的に著名な調査会社ガートナーの優良企業にも10年連続で選出されています。2020年にはグローバルで「唯一」のリーダー企業に選出されました。Zscalerがネットワークセキュリティ市場に及ぼす衝撃は、SalesforceがCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)市場に、Amazonが書店や小売市場に与えた強烈なインパクトと同じです。僕のポストはアジア全体の統括なので、経営の対象が南はシンガポールから北は韓国まで含まれます。日本市場を含めたアジア全体のセキュリティ市場の変革、顧客数を増やし事業を発展させることがミッションとなり、経営戦略、事業運営、マーケティング、営業、運用保守その他すべての最終意思決定者ということになります。

LivePersonとZscaler、どちらもユニークな会社ですが、僕自身のスタンスは同じだと認識しています。ミスミでお世話になった三枝匡さんは「日本企業のV字回復のプロ」と評されていますが、僕は「革新的グローバル企業の日本進出立ち上げと急成長のプロ」だと自分を位置づけました。この先もこのスタンスにのっとり、たくさんのグローバル企業の急成長の手助けが出来たらと考えています。僕は、この切り口から日本社会およびアジア市場の活性化に努めていきます。

キャリア以外で僕が日本社会に対してビジョンを持って推進しているのが、僕が主催している勉強会「金田サロン」です。僕が今まで経験したことを草の根からはじめ多くの人に伝えることで、日本社会におけるグローバル人材育成に貢献していきたいと考えています。

J-Wave出演時

きっかけは友人に勧められて始めたブログでした。当時のブログは個人の日記を書くのが主流でしたが、僕はせっかく何か書くなら自分が今までやってきたノート術をみんなにシェアしたら面白いかなと思い、29歳の時から「人生戦略と成長日記」というタイトルでブログをはじめました。それがダイヤモンド社のおすすめビジネスブログに取り上げていただいて、出版が決まり、僕にも本が書けるんだ、と驚きましたね。(「29歳からの人生戦略ノート」金田博之/2011/日本実業出版社、他多数出版)。一年かけて原稿を書き終え出版すると、本を読んでくださった方からブログにメッセージが届くようになります。「うつ病だった夫が、1日1行の成功日記を書いて、前向きな気持ちを取り戻して復帰できた」と書いていただいたのを読むと、いいことしたな、僕の経験を通して世の中に貢献できたな、と、仕事とは違う感動がありました。二冊目、三冊目と本が出版されると、講演会などに登壇させていただく機会も増えました。その中の一つにご参加された方から「自分が主催の勉強会で話していただけませんか」と声をかけてくださいました。その会で僕なりに準備をして話をしたら、「丁寧に話してくださって感動した、ぜひ金田さんの勉強会を継続的に開催したい、運営事務を自分にやらせてもらいたい」と仰ってくださり、現在も続く「金田サロン」が始まりました。

書籍の出版やブログやメルマガでの情報発信、金田サロンの開催を通じて、自分の経験をいろいろな人にリアルに還元していくことは、僕にとってとても大切なサイクルです。子どもの頃からずっと感じていた「自分の存在価値を証明したい」という想いが、書籍出版と勉強会の開催でひとつの答えを得たと思っています。僕の苦労体験とそこから得たことをシェアすることで、参加者や読者の成長に寄与できるなら、こんなに嬉しいことはありません。なので、仕事が苛酷になればなるほど、実は全てが参加者へのケーススタディーになるんです。もっとやってやろう、もっと大変なところに行ってみよう、と思うんです。

「仕事での更なる挑戦」と「勉強会での更なる還元」、この二つのサイクルが両輪となってうまく回っていくのが「今の会社に対する人材育成」と「日本社会に対する人材育成」の両面での発展を志す今の僕のスタイルです。幼少期から人一倍周囲のことを繊細に考えてきたからこそ、心から人材に貢献したいのです。 金田サロンはどなたでも参加できます。多くの人と一緒にスキルを高め合っていきたいです。(4ページ目 文末にURL掲載あり)

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