TAKE OFF!
~世界は広く、価値観は多様、そして仕事は楽しいものだった!~

安達 由依(あだちゆい)さん

 

神奈川県出身。日用品メーカーY社にて営業業務につくも、3年半で退職。短期留学を通して自分のやりたいことを見つめ直し、パーク運営会社であるT社にアルバイトにて入社する。インストラクター業務を通じて、仲間と想いを共有し伝えあうことの喜び、人と接することの楽しさに目覚める。その後顧客向けインストラクターも履修。現在は社員として、研修プログラムを履行中。プライベートでは社会人チアリーティングのチームに参加していた時期があり、世界大会に出場したことがあるそう。

 

 

 


雲の上の晴れ間のように

憧れていた企業に新卒で入社した安達さん。三年で望まない形での退職となってしまい、大きなショックを受けてしまいます……。

大好きな日用品を取り扱うY社に新卒で入社し、営業部に配属されました。営業部での私の主な業務は、電話がたくさんかかってきて、内容を聞いて対応したり指示を出したり、月次で数字をまとめたりすることです。
当時の自分としては一所懸命働いていたつもりだったのですが、いつもいっぱいいっぱいでした。

日々バタバタしていたのですが、三年経った頃、依頼退職という形で会社を去ることになりました。その会社が好きで好きで入社した会社だったので、依頼退職は、満足できる、納得できる退職の仕方ではありませんでした。
だからとても悔しくて悲しくて……でも、どこかで納得してしまっている自分もいて。いつもいっぱいいっぱいで、周りに迷惑かけてしまっていましたから、自分はあそこには必要なかったんだな、期待に応えられなかったんだなと、自分に絶望してしまいました。
自分が必要とされないのって、すごく悲しくて怖くて。この経験が、今の働き方にも影響している気がします。

退職してからしばらくは、なかなか立ち直れませんでした。すぐに次の就職なんてとても考えられなくて、細々と知人のツテでアルバイトをしていた程度です。まだY社が好きで、諦められない気持ちが強くて。

気分が変わるかな、と見ていた留学の資料に、Y社の創業本社があるアメリカのとある州での短期留学プログラムを見つけました。
もうこれが最後だし、本社を見てみたい、その州で生活してみたい、という気持ちが強く湧き上がりました。勇気を出して留学に申し込んで、本社見学のアポイントを入れました。念願の本社見学ができたのは、日本や現地で親身に接してくださった皆様と、支えてくれた家族のおかげです。今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

留学のプログラムはとってもゆるくて、午前中に授業、午後はもう全部自由時間です。ホストファミリーがいろいろなところに遊びに連れて行ってくれたり、同じクラスの友達と仲良くなって遊んだりして、楽しく過ごすことが出来たと思います。

本社訪問したのは留学の終盤の頃でした。いよいよやって来た訪問では、本社ならではのスケール感や最先端のシステム、創業者の想いに触れて、ただただ感動してしまいました。案内してくださった方も、私はもう社員でもなんでもないのにすごく親切にしてくださって、やっぱり自分はこの会社が好きだな、少しだけでも関わることができてよかったな、と思うことが出来てとても嬉しかったです。

落ち込んでいた気持ちが少しスッキリしたというか、依頼退職のことをそこでようやく納得できたような心地になりました。本社訪問をしていなかったら、今でもY社にモヤモヤした気持ちを持っていたと思います。この経験が、私のY社へのやりきれなかった気持ちをポジティブなものに変えてくれました。

ベタなんですけど、そんな気持ちで帰国する飛行機に乗った時、窓際の席だったんです。離陸した飛行機が曇り空を抜けて、ばっと太陽が出て一気に広く明るくなって……その景色を窓から見て、今まで自分が見てきた世界は狭かったんだなと強く思いました。

留学する前は、一つの会社でダメになって必要とされなくて辛い悲しい、ばかり考えていたけれど、そんなことないのかもしれないなと。辛いままでいる必要なんかないんだ、私は必要ないなんて思ってたけどそんなことなかったんだ、と実感することが出来ました。窓際の席でよかった(笑)。留学と本社訪問は、私にとってとても大切な大冒険でした。

 

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