独立までのキャリア道
前職には22年お勤めされました。社長と女性社員が2名という中に初めての男性社員として入社し、勤めて来られました。社長との出会いがターニングポイントのひとつでもあったそうです。
新卒で入った会社はレコード会社でした。その会社には丸3年間いました。僕は販売促進部という部署に属して、レコード店に自社商品をセールスしていただく方に向けた資料作りや販促品の企画、ポスターの制作など、何でもやる下っ端でした。
仕事自体ははっきり言って激務で、電車の定期を買う必要がないくらい帰りはタクシーか会社に泊まり。でも、人には恵まれて、社会人の原理原則はその3年間でみんな教えてもらったと思っています。
今思うとパワハラとかブラックといった言葉が飛び出してきそうですが、僕は鍛えられたと思っていますね。甘っちょろい考えでいた自分を真っすぐにたたき直された感じ。仕事というものはこういうものなんだなって教えてもらいました。
入社3年目にレコード会社が依願退職者を募ることになったのです。
違う世界も見てみたいという気持ちが抑えきれず、転職を決意しました。ただその時は、再就職活動など考えずにとりあえず辞めて、いろんな方の話を聞いてみて、自分になにが向いているのか、合っているのか、見つけてみたいと思っていました。
そんな時に、当時の上司だった方の紹介で前職の初代創業社長につないでもらったのです。かつて同じレコード会社にいた方で面識もあったし、少しは話したこともありました。
その方が自分の会社を興されたから話だけ聞いてみたらどうか、と言われて、何の気なしに会いに行ったのですね。そうしたらとんとん拍子に話が進んで。「いつから来られるんだ?」と言われて、僕もつい「来週の月曜日からです」って言ってしまっていたんです。(笑)
その会社はまだ創業間もない会社で、社長と女性社員が2名。僕がその会社初の男性社員でした。後に男性社員も増えたのですが、僕は常に社長の直下で仕事を学びながら働きました。
今は、社長が僕を拾ってくれたんだな、と思っています。
初代の社長は江戸っ子で、「相手の会社とケンカしてこい、仕事がなくなってもいいから。」みたいなこともいう気風の良い方でした。お酒もめっぽう強くて、当時は終業後に事務所でお酒を飲んだり。そういう社長だから、しばしばお説教が始まることもあるわけで、若い子たちはそうなることを見越してたいがい帰ってしまうのですが、そういうのは全部僕が引き受けて。社長と後輩たちの間に立つ立場だったと思うし、それが自分の仕事だと思っていました。
今は初代社長には感謝しかないです。病に倒れられるまで9年間、いつもそばで仕事をしました。今生きていらしたら、もっといろんな話をしたいです。本当に感謝しかない。
小さな会社は関係する会社も小さな会社が多いのです。初代社長のような個性的な社長の周りに集まる、これもまた個性的な事業主さんや社長さんたち。そういう方々から人の生きざまや何が幸せかといった生き方について考えるきっかけを与えていただいた。その中でいつかは自分も独立して会社を興したいという夢を持つようになったのだと思います。