新たな展開、起業、複業?

会社での経験、ご自分の感覚、フランスで自然派ワインの生産をなさっている旦那様、さまざまな「今あること」をもとに活動を起案し、進められてきたルモアンさん。2018年には新しいチャレンジもありました。

2018年には起業をして、自然派ワイン醸造家である夫シリル・ル・モアンのワインを輸入して、夫を知ってナチュラルワインに 興味を持ってくれたり、ほしいと言ってくださる方に生産者から直接みなさんにお届けできる会社を設立しました。夫はフランスでぶどうの木の剪定から出来上がったワインのビン詰めやラベル貼りまでをすべて一人で行う無肥料・無農薬・亜硫酸塩添加無しのワインづくりをしていて、通算で3か月くらい、ワインづくりの手が空く時期日本に来ています。一日シェフレストランイベントはその時に合わせて。料理も大好きな夫は、ワインは料理とともにあると考えていて、自分のつくったワインに合う日本の調味料や食材を使ったフランスの家庭料理を作り、参加した人と一緒に食事やワインを楽しみながらテーブルを囲んでいます。

実は、夫のワインは私の起業前からすでに日本で販売されていました。私たちのイベント回数が増えたので、それ用に譲ってもらうワインの量をもう少し増やせないか、と輸入元の女社長さんにお願いに行ったんです。
そうしたら、年に三回も日本に来てイベントをしているのだったら、自分たちで輸入をして売ったら?と言ってくださって。普通ならあり得ないことなんですよ。大手の輸入会社さんで、つまりそれは販権を譲ってくださるということなんです。その社長さんは夫のワインをすごく気に入ってフランスのセラーや畑にも何度も足を運んでくださっていたから、「直美さん、がんばってね」ってことでもあって(笑)。自然派ワインがどれもおいしいと思ったら大間違い「シリルのワインのすばらしさをちゃんとみなさんに知らせてね」って。

その社長さんに会社を興したほうがいいと勧められて迷いつつも起業することになるのですが、当時、私の勤めている会社は複業禁止。もちろん、私も自分が会社を興すなんて夢にも思っていなかったのですから、また「どうしよう」って(笑)。
会社に相談して、最終的に母親と共同代表で、私は矢面に立たない、という約束で例外的に認めてもらいました。それが2019年になって会社が複業解禁になった。たぶん、その流れもあってのことだったと思います。

起業に際しての手続きや、酒販免許の取得はほんとうに大変だったのですが、同じ年の春に会社の仕事の内容が変わって、今までのような定時で帰れない部署でなくなっていたので助かりました。
その異動も、今までずっと同じ部署にいたし、ないだろうと思っていた異動でした。開発の管理部門の最前線から障がい者雇用の担当に変わったんです。

今、ラジオ体操の活動の代表をしてくれているのが同じ会社の障害を持つ女性なのですが、ラジオ体操を始めた時「近くに住んでいるから誘ってみてほしい」と会社の方に言われて誘ったら来てくれて。その方が本当に勤勉にやってくださる。今ではお父さんもお母さんも来てくださっていて。

それで、副代表に男性が入ってきてくれたタイミングで、彼女に「代表をやってみませんか」と聞いてみたらすごく喜んで「やりたいです」と言ってくれたんです。
障害があったりすると自己肯定感や自分に自信が持ちづらくなるケースも多い中で、そうやって目を輝かせて「やりたい」と言ってくれた。今では彼女は事務連絡から開催後報告のSNS発信までを責任をもってやってくれています。三鷹市の環境活動表彰で彼女が市長から表彰状を受け取った写真をもらった時はほんとうに、涙が出るほどうれしかったです。

 

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