迷いも自分の幸せや豊かさに換算して腑に落とす

やわらかな物腰と清楚な姿の中に強い信念が、小川さんの言葉の端々に伺えます。迷うことはないのですか?と聞くと「しょっちゅうありますよ」と笑顔で答えてくださいました。小川さんにとって活動は?働くということは?

自分の解決したい課題が、果たして社会の課題かどうか…と思うこともあります。でも、私の中でそれは確かに課題。
例えば、まだ生まれてもいない赤ちゃんの保育園を探さなければならない、という姿に私は矛盾を感じてしまう。保育園入れないと働けないし、預けるなら週5勤務じゃないと難しい、なんていうことも私はおかしいな、と思ってしまう。
一方で、私自身が自分の家庭内だけで子どもを育てるというのは大変だろうな、と思うのです。私と将来の子どものためにも、近所の人と繋がっている環境を作っておきたい、と思っている部分も確かにある。
活動のプレゼンテーションや事業の目的を話すときに社会的な例として、「孤育ての解決」などという言葉と兼ね合わせますが、一番は自分がそうなりたくない、ということが実感です。

くじけそうになる時はまず彼に聞いてもらいます。(笑) 話をする中で、幸せになるにはご近所さんの力が必要だよな、私の働き方も、会社の時間と制約がある中で働くのは多分自由度が減るから、お金を自分で稼ぐ方法を見つけたいな、と勝手に自分で腑に落ちてまた執着するっていうという流れを繰り返します。でもそれが小さなモデルケースだと思います。

もちろん解決したい社会課題もあるけれど、イコールなんじゃないでしょうか。暮らしのラボを作ったのも、そういうことだと思います。自分の欲しい暮らしを作るために動くし働くし、且つ、私のやったことで他の人も同じことを叶えることができるかもしれない。

働くということは、私にとって豊かに暮らすための手段だなぁ、と。どうしてもそこに落ち着くように思います。自分が豊かに暮らすために働いて、私が働くことによって周りの人も何かしら豊かになる。
私の中の豊かさっていうのは、縛られなくて、だけど私のことを知っている人がいて。年齢とか血縁とかを越えてゆるくて深い関係がそこら中にある、ということかなぁ。表現するのが難しいのですが。
人と人とのつながり。それ以外の豊かさは個人的なものであって自分でどうにでもできるけれど、人間関係は自分一人では無理。私が考える豊かさの中ではそこが一番難しい。でもそれがないとやっぱり「豊か」とはいえなくて。
社会的につながる必要があり相互に影響しあえる人たちと心地よい人間関係を作っていくための手段が働くということかなぁと今は思っています。

ずっと先にはもっと暮らすことと働くことも境界線をなくしたいとも思います。今は遊ぶように仕事する・・ってよく言いますけど、私もそれと同じで、仕事をしている感じがあんまりないけど、これ働いてるのか?って。(笑)そんな感じになったらいいですね。

 

 

NPO法人でのお仕事もあり、時間も体力も限られる中、えんがわ家の立ち上げに際しては周りが応援せずにはいられなくなるほどの、静かですが相当な熱量で頑張ってきた小川さん。たくさんの人をそういう気持ちにさせる小川さんの魅力は、そのかわいらしさだけでなく、とても普遍的な、「人を、自分を、まっすぐに信じる姿勢」だろうと思います。
一方で「個人の暮らしの豊かさに社会を寄せていく」ともいえる考え方は、新しくそしてこれからの考え方だと感じました。一人一人がスマートフォンを持ち、一見リアルな個人が見えないような世の中で「シェアハウスを選ぶのも普通」という小川さんたち世代。若者が作る未来はどんな世界なのでしょう?多世代交流というものに、もっと広く多くの可能性があるように感じました。小川さんのご活躍を期待しています。

 


 

小川さんに聞いた 10年後、20年後のセルフイメージ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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