選べる人生になるために

ミッションを役割と訳した阪井さん。「ノート3冊分の自分史®」とマーケティングやビジネスの根源的なつながりについて、熱い言葉で教えて頂きました。

僕にとって働くことは遊びだと思っています。遊びというか実験ですね。平生業成の言葉のように、自分自身がどういう役割を持って生まれてきたのかを理解するために実験を繰り返していくことが必要です。役割が分かった後も、それをどう具体化・具現化していくか、どの領域まで自分自身を高めていくかという実験が必要になってくる。働くってそういう実験の繰り返しかなと僕は思います。

「ノート3冊分の自分史®」というと、大抵の方が「大変そう」「自分にそんなに書くことあるのかな?」という印象になります。それが僕の狙いなんです。大変そう、でも自分と向き合いたい! という気概がないと、そもそも自分史を書き上げることが出来ないんですよ。

マーケティンやビジネスのお手伝いだけお願いしたいと言われることもあるのですが、自分史を受けていない方はすべてお断りしています。まずは「ノート3冊分の自分史®」を受けていただいて、それで更にその先をやりたいと言ってくださったら、改めてそちらをやるという形です。

結局人が物を買う時って、値段や性能の良さではなく、「感情」なんです。感情が動く時というのはその人やそのサービスが持つバックグラウンドストーリーに触れて共感した時なんです。バックグラウンド、つまり自分の過去の物語なので、ここで「ノート3冊分の自分史®」とマーケティングがつながっていくんですね。頭で考えている言葉と腹の底から同意している言葉って全然違って、その腹の底から出ている言葉を自分自身でしっかり認知するために、過去をしっかり振り返らないといけないんです。

ブログで副業をしていた頃、いわゆる集客ハウツーだけを教えても、その人が内から出てくるのかが何なのか分からないことには、マーケティングやビジネスの手法は機能しませんでした。人間はつい「いかに早く効率的に結果が出せるか」という情報やノウハウに飛びついてしまいますけど、そもそもその人が今回の人生を通してやるべき役割=ミッションが言語化されない限りは、手法をいくら勉強しても上手くいかないんです。世の中の流れとしてビジネスのコンサルティングはまずフレームワークがありきで、既存の枠に会社をどう乗せるかという話になってしまうんですよ。そうではなくて、どういう軌跡をたどってきたのか、どういう熱い思いを持っているのか、そういうフワッとしたものを具現化・実現化させるためにマーケティングやビジネス設計を使うので、順番が逆なんです。まず役割=ミッションを具体化させた後、その人や会社が本来持っている可能性を拡げるお手伝いをするために、インバウンドマーケティングなどを活用しています。

人間は自分の可能性に無意識にフタをしてしまうんです、今いる環境がすべてなので。それによって入ってくる情報も決まってしまいます。自分が重要だと思うもの以外は入らない、意識できない。自分史を通して見える視野を変えることで、入ってくる情報が変わります。自分にはこんな可能性があった、もっとこんなこともできるよね、と視野がパーッと開けてくるので、会社員の方ならキャリアアップできたり転職に成功したり、経営者の方なら新規事業に取り組んだり売上が上がったり、ということが起こってくる。不思議ですね、と言われます。「ノート3冊分の自分史®」コンサルを受けてくださったある社長さんが、自分史を書く前はキャッシュフローが苦しかったそうなのですが、「ノート3冊分の自分史®」を書いて気が付いた自分のミッションを社員さんに伝えたら、年商が3倍になったそうです。メディアにも取り上げられて、yahooニュースにも掲載され、自治体からひっきりなしに問い合わせが来るようになったそうです。「よく分からないけどなっちゃいました」「息するだけで契約が取れる」なんて仰ってましたね。

言葉って言霊なので、自分の本心から同意していることを言葉にすると、相手に無意識的にそのエネルギーが伝わります。頭で考えただけ、どこかで学んでとってつけただけ、論理的な思考だけで話してしまうと、言っていることは分かるけど、そこに気持ちが乗ってないので、相手に伝わらないんです。気持ちを込めて書いた文章と、ロジックで書いた文章は全然伝わりが違う、それと一緒です。心から同意している言葉で話すと、なんかよくわからないけど売上が上がったり、上手く行ったりすることが起こる。だから僕がやっていることは表に出さないで、何かよく分からないことをやっている、でいいかなと思いました。

高校受験の時に母に言われた、「選べる人生になりなさい」という言葉をよく思い出します。高校受験の時、進学校ではない、当時の学力で行けるところに進学しようとしていた時に言われました。いわき市は高校の時点で未来の選択肢が狭まってしまう地域だから、進学校に入ると、そこから僕の可能性が広がっていく。だから今は勉強を頑張ってみたら、と言われ、奮起して受験勉強をしました。今、「ノート3冊分の自分史®」コンサルをしていろいろな方を見させていただくと勿体ないなと思う。もっとこんなことできるのに、もっとこんなこともできるのに、と思っても、本人は気づけていない。でも「ノート3冊分の自分史®」を書いた後だと、言い訳できないんですね。いやいや……と言いかけても、「自分史のここに書いてあるじゃないですか」というと言える。そこがコーチングとは違う「ノート3冊分の自分史®」の強いところです。その人がウッと思って止まっているのを自分史でぶっ壊していくんです。そっちに行っていいんだという許可を自分で選べるようになっていただくのが、僕がやっていることだと思います。

全く別物に思える自分史を書くということとマーケティングを実行すること、それらが実は密接にリンクしているというのは驚きでしたが、聞けば聞くほどそれこそが真理と思える説得力に満ちていました。短い期間にギュッと濃縮されたご経験をご自身で一つ一つ紐解いていったことが、阪井さんの言葉に説得力を与えるバックグラウンドストーリーとなったのだなと筆者は感じたのでした。
(文章:吉田けい)


阪井さんに聞いた
10年後、20年後のセルフイメージ

真っ直ぐに生きるための自分史ノートの書き方 https://jibunshi.me/

1分で相手の心をつかめ!(阪井裕樹/2019/コスミック出版)


 

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