働くこととは、世の中にどれだけ自分ならではの価値を提供できるか

やはり新卒配属日に見た光景は忘れることができない、と仰る平井さん。その後も当時の心境を振り返りながら、ご自身のターニングポイントを教えてくださいました。

ターニングポイントは、やはり新卒配属1日目、定年退職される方を目の当たりにしてしまったことが大いにあると思います。「ここにずっとはいたくない」と強く刷り込まれてしまったんでしょうね。同じ日に退職のご挨拶がなければ、今の私とは全然違うキャリアを歩んでいたかもしれません。

二つ目は、渡辺徹さんと一緒に仕事ができたことです。彼の近くで本当にいろいろなことを学ばせていただき、マネジメントへのキャリアに興味を持つきっかけを得ることが出来ました。最後は「パワハラ傾向振り返りシート」を、開発にとどまらず、自分自身でも売って行こう、と決心した瞬間でしょうか。世の中の需要に合ったサービスを提供できている、と実感が持てたこと、その事業に主体的に関われたことが、私にとって大きな自信につながりました。共同開発者である湯澤悟さんがご自身のクライアントに販売されているのに続いて、自分自身でも売って行こうと決心しプレスリリースを打った瞬間が、大きなターニングポイントだったなと感じます。管理職教育用Web適性検査「パワハラ傾向振り返りシート」を作っていなければ、私は今の状態にはないと思います。

私にとって働くこととは、「会社・個人として、世の中にどれだけ自社・自分ならでの価値を提供できるか」ということだと考えています。サラリーマン時代とはまた少し違う感覚で、より社会というものを意識するようになったと思います。サラリーマン時代も、当然会社の一員として社に貢献している意識はあり、自社が提供するサービスを通してその先にある世の中の役に立っていると言え、そうだと感じていましたが、独立してからはその貢献感が更にリアルになり、より一層のやりがいを感じています。会社においても社員に「社会に貢献できている」という実感を持たせてあげられることは、彼らのやる気につながり、自分のスキルを高めてクライアントにより良いものを提供していこうという気持ちにさせてくれると思います。社員にそうした実感を持たせてあげられる会社は存在しますし、そうした会社をパワハラの問題をきっかけにして作っていくことが私の使命かなと感じています。会社は社会に受け入れられないと、会社として存在できないですからね。私自身も、グローイングという会社はどのように在るべきなのか、常に考えて続けています。

「パワハラをパワハラの問題としてだけ扱うのはもったいない」というお言葉を最初に聞いて、筆者はそれがどういう意味なのかさっぱり見当がつきませんでした。お話を聞くにつれ、平井さんが人と組織の在り方を常に問い続け、出会った人たちから感じていたことをギュッと凝縮した言葉だったのだと分かり、モヤモヤとしていた霧が晴れたような心地でした。パワハラそのものは許されていいものではありませんが、そこから組織づくりの礎を見つけることができるなんて、現代的でユニークだなと思ったのでした。
(文章:吉田けい)


平井さんに聞いた
10年後、20年後のセルフイメージ

管理職教育用 Web適性検査「パワハラ振り返りシート」 
https://tekisei-prm.jp/


 

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