仕事の始まり、働くスタンス
アトリエハルのパンフレットを拝見すると、藤野さんの人とのかかわり、つながりを大切にするお仕事ぶりがうかがえます。仕事をするスタンス、藤野さんにとって「働く」とは?をお聞きしました。
仕事を営業して取ってくるわけではなくて、今までの会社のつながりだったり、大学の先輩後輩や家族の依頼だったり。いつもアトリエハルの前を通っていた近所の方が戸を叩いてくれたり。
今参加している空き家活用のプロジェクトも知り合いの紹介で行ってみたら始まったものです。人のつながりでという感じですね。だから、僕の場合は自分の作品集見た人が僕のところに来るわけじゃなくて、「ちょっと頼むわ」っていう形で始まるじゃないですか。今のスタンスとしては今やりたいことをやるというという感じだと思います。もちろん事務所の仕事になるので、所長がOKとて言ってくれるくらいの金額に何とか調整して、そのうえで自由にやっているんですね。
頼られたり頼まれたりというのは「縁」なので断りたくない。話しやすいからお願いしたいって言って来てくれるから、やってあげたいって思うんです。そういう方々と一緒にやっていく方が楽しいんですよ。
設計として携わる仕事を「作品」的な形で扱うのではなく、やはり人に寄り添って、よく話を聴いて進めていく感じ。
例えば、僕は街のお医者さんで建築がちょっとできる人みたいな感じでいたいです。
空き家活用のプロジェクトについても、関わっている人一人一人の人の顔を思って、あの人のためだし、あの人のためでもあるし、ってやっています。そういう思いで頑張ってやっていますけど。
空き家活用に関しては、今回は逆に新しく作るものはないんですよ。削って削って調整してっていう仕事。これからの「設計」というお仕事は、新しく設計してふかして作っていくだけではなく、建物を例えば一部減らしたり、使い方を変える事を考えたりする事もまた、「設計」の一つだな、と思ってたりしながら携わっています。
その先に喜んでくれるであろう人の顔が見えるので、やりがいをもって進めています。創ろうとしている場所に関係する人の線がすごく多いから。
それを僕はちゃんと頑張ればみんながハッピーになれる。喜んでくれるじゃないですか。
僕にとって働くとは生活すること。生活そのものと一体になっているところがありますね。
例えば千葉の海の近くに住んでいる妹はサーファーで、会社勤めをしています。朝サーフしてから仕事に行って、終業とともに席を立って急いで帰ってまたサーフする。仕事は生活とサーフィンをするため、という感じ。同じ兄弟でどうしてこうも違うのか、と思うけど、ワークやライフのスタイルはやはりそれぞれですし、僕も妹もそれぞれそれで満足しているんです。
妹のお家の敷地にコテージがあり、夏場に何度か遊びに行かせてもらっています。サーフスタイルを間近で見て、ある意味羨ましいですし、尊敬もしています。
妹にとってのサーフィンみたいなものは何かと考えると、今ここまで続いてきたもの自体が大事なものなのかな、と思います。妹やその周りの人の生活を見ていると、東京で働いて地元でサーフィンして。そういう生活もあるかもな、とは思ってはいます。二拠点で暮らしたり働いたり。
自分の未来の働き方を想像しても、今と変わらず同じようにやっていくんじゃないかな、とは思いますが、遠方でも仕事はできて必要な時だけ行けばいい。今はどこでもできるとも思っています。フィールドが変わることはあるかもしれないけど、誰かが喜んでくれるために仕事したいというのは変わらないし、いまあるつながりもそのままでやっていると思います。
インタビューしたこの日も、ご自分の経歴を時系列で書いたもの、たくさんの資料やパンフレットを準備して待っていてくださった藤野さん。そんなところにも旺盛で温かいサービス精神と人と丁寧にかかわる姿勢がにじみ出ていました。博識でお話が面白く、決して他人や他人の生き方を軽んじない。藤野さんの「その後を決定づけた」呉さんのように、藤野さんも今誰かの「将来の選択の際に影響を受けた人」になっているに違いないと感じます。ここに載せきれない素敵なお話もたくさんありました。「ぜひ藤野さんに会いに行ってみてください!」と言いたくなるような元気をいただける方でした。藤野さん、ありがとうございました!
藤野さんに聞いた 10年後、20年後のセルフイメージ
藤野さんのお仕事の詳細については
以下所属されている(有)アトリエハル様のリンクよりご覧いただけます。
一級建築士事務所(有)アトリエハル
https://lemoing-tokyo.shop-pro.jp/