働き方の変遷
大学時代のアルバイト先では夜な夜な仕事をしていた、という藤野さん。今の世の中では【ご法度】な場合もある経験が、人生を決定づけた経験でもあります。今の働き方はどうでしょうか。
ブラックな働き方だと言われたらそのような気もしますが、面白かったですよ。
デザインの世界って、どうしても時間で終わるわけじゃない。僕の場合はワークとライフが一緒になっています。お盆休みにいろんなところ行くのも仕事になる。見聞きしたことや風景も。一緒です。逆にいうと分けないし、分けられない。
高野ランドスケープにいた時にも、事務所で寝泊まりするのですが、遅くまで考えてひらめいた案を紙に書くじゃないですか。で、寝袋でそのまま寝る。起きたら誰かが別の案を書いてくれて。夜な夜なそれを締め切りまでやりあう。自分の案が一番いいと思って寝ておきたら違う案があったり。(笑)
今は、体力的にそんなふうにはできないですね。その分集中してやっています。インプットのために本読んだり映画を観たりする時間もちゃんと欲しいと思っています。かといって、家に帰って仕事をすることも多々あるし、会社からは夕方に一回帰って切り替えるようになりました。
切り替えやここで帰るよ、というのはやればできることで、自分が決めるだけ。
デザインの仕事はやろうと思えばずっとできてしまう。でも時間を決めながら、案をここまでこうして、フェーズスケジュールを立てて、絞っていけばいいことです。どうしても必要なら延長もしなければならないけど、そういう考え方で判断して切り替えをしながらやっています。
若いスタッフが寝袋持ち込んで夜中にやっていたとしても、つらくないのだったらやったらいいと思います。僕は、注意はしない。もちろん、つらいと思ってやるなら「帰れ」っていうと思いますけど。
その人が鉢巻巻いて、目が死んでなければ、おお、頑張り屋だな、やってみなさいって。それは、こういう仕事だからというのももちろんあって、別の仕事ならまた違うのかもしれません。
どんな働き方が良いのか。風潮や時代の流れはもちろんあるけれど、情報過多な時代だから本当に様々な情報が入ってくる。そのたくさんの情報を受けて、その中のどの情報が自分にとって大事かを考えること。それをまたちゃんと自分の頭で考えるっていうのが大事なことだと思う。「テレビでこう聞いた」と言うだけじゃなくて、それを自分がどう思うか、ってことじゃないかと思います。
昨年結婚したので、単純にそれで生活も変わりました。
奥さんは造園や外構などグリーンのデザインをやっていて都内で働いているので、僕の方が先に家に帰ります。
帰ったら洗濯して掃除してご飯作るみたいな。一人暮らしだったから、前からやっていたけど、量が少し増えたくらいかな。奥さんは9時頃「ただいま」って帰ってきて、ごはんを一緒に囲みながらお互いの話題交換。
自分では体験できないインプットをもらいながら、経験値が上がっていく感じがしています。